2012年4月7日土曜日

『 IDEOディレクターElle Luna氏とOneSheetの創業者Brenden Mulligan氏による「Startup Strategy」』ノート

2012/04/04に開催された『 IDEOディレクターElle Luna氏とOneSheetの創業者Brenden Mulligan氏による「Startup Strategy」』のノート。


これはElle Lunaさんのプレゼンテーション。

※管理人のヒアリングスキル及びあくまで意訳であることには留意してください。








◆Elle Luna 『How you can think like a designer To make difference in your startup』

 - 『デザイナーのように考え、スタートアップを差別化する方法』


◇はじめに

 今日お話するのは、本当に具体的なことです。

 IDEOを辞めスタートアップの会社に入ったときくらいから、ずっと考え続けてきたことです。

 スタートアップにあたり、デザイナーのように考えるには? ということについて話します。テンションがあがってしまいます。




◇何故デザイナーのように考えるのか?

 スタートアップの際、なぜデザイナーのように考えなければいけないのか?と思っている人もいますよね。

 あくまで私見ですが、スタートアップをデザインすることは必要不可欠だからです。

 それはrethinkすることであり、(デザインがなければ)会社の評価はそれだけ小さくなってしまうからです。

だから話すのです。デザインは本当に重要です。



◇何故デザインなのか?


自分のビジネスが将来どうなるかなんで誰にもわかりません。スタートアップも、何がどうなるかはわかりません。

最善策の代わりとして、『試してみる』ことができます。

あなたはマーケットにフィットする箇所を、スタートアップの中から見つけようとします。ファウンダは、開始してみるまでそのサービスがどこに向かって進んでいるのかは分からないものなのです。

たくさんの曖昧さがあります。たくさんの知らないことがあります。デザインが素晴らしいのは、それが曖昧さを許容する為の非常に偉大なプロセスであるからです。プロセスがあれば、どこに向かっているのかわかります。



1. Start with people - 人から始める

最初のステップは『人から始める』。ブレインストーミングやイケそうなアイデアの実現方法に時間を費やす代わりに、そうするのです。ブレインストーミングから始めてしまうことには本当に問題があります。外の世界に触れないままで明確化できる、という人はそう多くないのです。

では、本当の課題はどこにあるのでしょうか? 課題は生身の人間のところにあります。日々、あなたの周りの人達は問題を抱えています。あなたは助ける必要があります。


※ここでSquare創業者が引き合いに出される。彼は、人を良く観察し、カードでの買い物には沢山のプロセスが介在していることに気づいた。そして、そのプロセスって本当に必要なのか? となった。





人から始めるにあたって、次の三つの質問を自分に問いかけましょう。

・人々が抱える日々の本当の課題をどのように観察できていますか?

・あなたのプロダクトを(多少手間があったとしても)ユーザが使おうとするモチベーションは何ですか?

・あなたのプロダクトの中でstep1. step2. …のような(こまごまとした)操作をユーザにさせているものは何?





2. Stop talking, start making - 話すより作る

スタートアップのアイデアは聞きたくありません。私は見たいのです。ポストイットでも構いません。できあがった何かが見たいのです。

それがあれば、皆とより早いタイミングで、より実りのある話ができるのです。

もう1つポイントがあります。よいアイデアというのは思いを巡らせているときには出てこないということです。考えることは素晴らしいことですし、よいアイデアを持っているというのもわかります。

しかし、実際にアイデアを掴む為には、作らないといけないのです。

分かりますか? 作り、試行する、ということを始めなければいけないのです。

さて、私が大好きな、作ることの力やどうやって全く作り変えてしまうかに関するIDEOでの話をします。


※鼻の美容整形に使用する器具の製作事例を紹介





もう作り始めることができますね。

・プロトタイプから何を学ぼうとしていますか?

・学びたいことを迅速かつ多量に得る為に、どうすればよいですか?

・チームは、明日からでも大まかなプロトタイプを手早く作ってみせることができます





3. Prepare to throw away a lot of work - たくさんの仕事を捨てる為の心構えをする

頭にあるものを実体に落とし込むため、手早くプロトタイプを作ります。つまり、沢山の物ができあがるということです。

これでもかというくらいの山を見たこともあります。

あなたは思考を重ね、沢山のアイデアを目に見える形にします。沢山の物を作り、そして、いつかは放ってしまう必要があります。

さて、よりよくするために沢山の成果物を捨てて見せたインスタグラムという企業の話をしましょう。

彼らが最初に始めたのはBurbnというサービスでした。150人向けのベータテストを行ない、ファウンダはユーザの行動を観察しました。

なんと、ユーザは写真をアップロードしようとしていたのです。Burbnに写真のアップロードする機能はなかったにも関わらず、です。

ユーザは写真を他のサーバにアップロードし、そのURLを貼り付けることで写真をやり取りしたのです。なんでこんなイカれたことをやっているのでしょうか?

ユーザは超カッコいい写真をシェアしたかったのです。

ここで彼らは気がついたのです。「写真をシェアするというのはこんなに面倒なのか。たかが写真のアップロードをする為だけに、Burbn外のサービスで幾手間もかけないといけないなんて…」

彼らは考えたのです。「なんで、何を差し置いても(写真をシェアする機能を)提供していなかったのか? みんながカッコいい写真をシェアしたいなら、それが彼らのニーズじゃないか?」

そして彼らは6週間でインスタグラムを作りました。6週間ですよ!

なんでこんな短期間でできたかというと …Burbnのインフラストラクチャがあったからです。Burbnは非常に複雑なアプリケーションでした。だからBurbnをリビルドするのではなく、Burbnから使えそうなものを取り出して作りあげたのです。

Burbnは非常に複雑でしたが、全て捨てました。最良の部分だけを取り出し、この絞り込まれたシンプルなプロダクト(インスタグラム)ができたのです。

たくさんの人に親しまれている、それがインスタグラムです。

なので、できあがったものを捨ててしまう心構えはしておきましょう。





ここで、3つの質問があります。

・あなたは作ったものを捨てられますか?

・捨てるときに直面する困難とは?
→それが他の部分と結合してしまっているときです。

・ユーザエクスペリエンスをシンプルにする為に切り捨てられる余計な機能はなんですか?





4. Spend as much time as possible talking to people who don't start startups - スタートアップをしていない人と時間が許す限り話す

時間はできるだけスタートアップをやってない人達と話す為に使いましょう。

我々にとって、こういう場所(このイベント)に来て会話をしたり、どこかのスタートアップにいっては友達と話をしたり、スタートアップの輪とつるむのは容易いことです。なので、サンフランシスコには20代の企業家がデザインしたアプリケーションが氾濫することとなります。私だったらもっとよくすることができる、というものばかりです。

ある企業の話をしたいと思います。シリコンバレーでは無いものとされていた人達にフォーカスし、世界のどのスタートアップからも差別化した企業です。すぐに注目され、急成長したシリコンバレーのスタートアップです。

Pinterestです。Pinterestというのは仮想のピンボードです。気に入ったものをピンして、シェアすることができます。ユーザーは気に入った画像をピンできます。

デザインは綺麗かつ非常にスマートな作りで、パワフルなプロダクトです。ただ、疑問があります「これが誰かを引き付けるのでしょうか?」

ヒントはサンフランシスコにいる男性ではないということです。 …母親です。 Pinterest はたくさんの母親を引き付けているのです。500万人の母親に愛されています。ここには典型的なサンフランシスコのギークはいません。

Pinterestは女性駆動です。西海岸でも東海岸でもなく、アメリカ中部から中西部に住んでいる女性です。

彼女達はレシピをピンします。夕飯を何にするか考えたいのです。手芸のアイデアもピンします。休暇など、子供達に着せる服用のものです。

あとはかわいい子猫の写真をピンしています^^。

このPinterest基本的な点こそが、Pinterestを怪物たらしめているのです。

Pinterestのユーザ層はいわゆるシリコンバレーのそれとは違います。

彼女達はTechCrunchを知りません。(逆説的になりますが)だから、 Pinterest はシリコンバレーの外で見出されたのです。

ではどうやって手付かずの巨大なユーザ市場を見つけるのでしょうか?
彼らには男性以外をターゲットにするということと、デモグラを使うことへの才能がありました。

だから、信じられないくらいの巨大な市場を見つけることができたのです。





あなたに必要なのは次のものです。

・スタートアップの外の世界で、誰と話していますか?

・自分が推測していることに取り組んでいますか?

・インスピレーションの為に、文化や流行あるいはそれに近い体験をどのくらいしていますか?

・あなたの市場に対し、デザインをすることができますか?

アプリケーションを次から次へと作る際、デザインは信じられないくらいの競争優位になります。友人とコラボレーションし、始めましょう。





5. Humanize your story - 自身の物語を人間味のあるものにする

最後のステップは、あなたの物語を人間味のあるものにするということです。

作業を終え、スケッチを終え、ピザをこれでもかと食べ終える頃、ユーザーの全ての困難と向き合いたいという欲求がでてきます。

言いたいのは、彼らはそんな困難を求めていないということです。

広告なのですが、このビデオを見てください。

これはカナダのイヌヴィク(Inuvik)という小さな町のビデオです。この町では1年のうち1ヵ月、日が昇らないのです。

トロピカーナは10万ルーメンの明かりでこの小さな町を照らしました。





人はあなたが作ったものから、何かを経験します。
人はあなたがこの世界へもたらしたものに興味を惹かれます。
人は特徴を友人やチームへ話そうとします。
人は製品に隠れた力を、余すことなく友人へ話そうとします。
何を感じたかを覚えているのです。だからあなたの作ったものを愛するのです。

人を射抜く為に最初にできて最高の方法は、人に調和し寄り添うことです。

なぜならデザインは人々を射抜き、人々に入りこんでいくものだからです。

どうやってユーザを通じ自分の物語を人間味のあるものにするかについての素晴らしいビデオを見せたいと思います。


Tropicana - Soleil






ありがとう。



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以上です。







Elle Luna様、Brenden Mulligan様、Open Network Lab様、お疲れ様でした。

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